家もみ

今年の夏はヤバいくらいに熱い。暑いじゃなくて熱い。
じっとしているだけで汗が噴き出す。冷房は必須だ。
そうなると心配なのは私の祖父である。祖父は冷暖房の風を嫌う。家にはクーラーやエアコンと言ったものが設置されていない。
今年の夏、さすがにそれは命にかかわって来る。
そこで祖父を説得しに家に来たのだが…あれ？この家、暑くない。気持ちいい暖かさだ…何で？
「それは儂が”家もみ”しているからじゃ」
家もみ…何それ？
「草津温泉の湯もみは知っとるじゃろ？あれと同じように、家の中の熱をもんで過ごしやすい温度まで下げる行為じゃよ。これがいい運動になってな。最近では湯もみの歌と踊りにも挑戦している」
見れば祖父、湯もみによって全身の筋肉が引き締まっている。
今年の敬老の日は祖父にマッサージチェアを送ろうと思っていたけどやめておこう。
ほぐすのはこの暑さだけでいい。祖父の凝り性はほぐさない方がいいだろう。