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あるところに山羊がおりました。
この山羊は旅が大好きでした。
北から南まであちこちをまわり、その地の名産品を食べるのが趣味でした。
ある日、山羊はとある宿場町を訪れました。その日、山羊はたいへん疲れており、宿屋に着くなり、バタリと寝てしまい、起きたら真夜中でした。山羊は食事をしようと思ったのですが、どこも食堂は開いていません。ふと見ると手元にはわずかばかりの紙幣と手紙がありました。この手紙は旅先で出会った女性から遠く離れた国にいる愛する旦那に届けて欲しいと言われていたものでした。
ジュルリ
山羊はこの手紙を見て「美味しそうだなぁ」と思いました。
でも、山羊はぐっと我慢します。この手紙は旦那さんに届けなければならないものだ。食べてはいけない。食べては。でも、少しだけなら。

こうして手紙が旦那さんに届いた時には虫食い状態でした。
手紙にはこう書いてありました。
もう待てません。ごめんなさい。
公開:23/02/22 13:16

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