恋

恋は人をオカシク変えてしまう。

私はICレコーダーを手に「先輩、好きです。付き合って下さい」と録音した。
そしてすぐに再生する。

「先輩、好きです。付き合って下さい」
即座に僕は「ああ、僕もだよ」とバリトンで返す。
いや、ここはもっと気を持たせた方が良いのでは・・・

「先輩、好きです。付き合って下さい」
「えっ、困ったなあ。ちょっと考えさせてもらえる？」
いやいや、これでは相手が「それなら辞めておきます」なんて言いだしたら困る。もっと大胆に行こう。

「先輩、好きです。付き合って下さい」
「えっ、僕の事が好きだって。モテる男はつらいなぁ。でも、ごめん、他にも僕の事が好きだと言っている女性がいるんだ。だから今は僕の恋人候補に予約って事で良いかな。あは、心配しないで、君がもっと魅力的になれば僕の隣は君だけの指定席になるから。頑張って上位を目指してくれるかな」

「お、お兄ちゃん、何して」