空き瓶の貯金箱

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空き瓶の中に小銭を貯めるのが好きだ。そして、その瓶は今、俺の手の中にある。
「これって……」
「ああ。お前が飲んだ薬が入っていたビンだな」
俺はそう言いながら、瓶の中の小銭を数える。全部で五百円玉が三十枚と十円玉が五十枚枚入っていた。
「へぇー……よくもまぁこんなに集めたもんですね」
「いや、全然集まってないよ。まだ二十本くらいあるからね」
「えっ!? あれで全部じゃないんですか?」
「ああ。もっともっと貯めるぞ。だからお前は、早く良くなれよ」
それを思いついたのは、後輩が薬を飲んでいた姿を見た時だった。その薬の殻の瓶を貰い、俺は貯金箱にした。
「そんなに貯めてどうするんです?」
「バイクを買うんだ。二人乗りできるやつ。お前が治ったら後ろに乗せてツーリングしてやる」
「壮大な夢ですね。でも楽しみです」
そう言って後輩は笑う。退院後の楽しみができたのなら、コイツも治療を頑張ってくれるだろう。
公開:23/02/17 09:13

富本アキユ( 日本 )

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・作詞を担当
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