アスパラガスの花

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うちの店に毎日来るお客さんは、アスパラガスの花を買っていく。うちが花屋だから花を買うのは分かるが、一体なぜアスパラガスの花なんだろう。だってアスパラガスの花言葉は「私は勝つ」だから。そんなに勝ちたい相手がいるのか。一体毎日、誰と勝負しているというのだ。今日も女は、やってきた。
「いらっしゃいませー」
「やあ」
常連客である彼女は、いつものように私に手を上げる。
「今日は何を買いに来たんですか?」
「アスパラガスの花を」
また?毎日毎日アスパラガスの花を買う意味が、気になって仕方がない。
「私ね、どうしても勝ちたい人がいるの」
その日、初めて彼女は自分の身の上話を始めた。
「昔から小さい事がコンプレックスだった。小さい事で幼く見られるから。この前なんて成人してるのに警察に補導されたのよ」
確かに彼女は幼く見える。
「だからあなたみたいな大人っぽい女に勝つ!!」
勝ちたい相手は、私だったのか。
公開:23/02/16 10:09

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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