聞こえなかった言葉

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まだ厳しい寒さが残っていた。僕は駅で多くの人とすれ違いながら、考え事をして歩いていた。
電車に乗り込むと、僕はすぐにスマホを取り出した。しかし、電話を掛けることはしなかった。彼女の電話番号は登録されていない。
番号を押すのも面倒だったし、何より今はそんな気分になれなかった。
彼女は僕に何と言ったのだろう?
別れ際、彼女の言葉は聞こえなかった。僕の耳には届かなかった。
僕は自分の気持ちを彼女に伝えるべきなのだろうか。それが本当に正しいことなのかわからない。
しかし、今のままではいけないということだけはわかる。
このままでは彼女との関係は終わってしまう。それはわかっていた。
僕は彼女のことが好きだから、こんなにも苦しいのだ。
その苦しみから逃れるためにも、彼女に会って話をしなければならない。
でも、どんな顔で彼女に会えばいいのか……。
そんなことを思いながら、窓の外を流れる景色を見つめていた。
公開:23/02/18 09:26

富本アキユ( 日本 )

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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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