優しい兵隊さん

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兵隊さんは、いつも僕に優しくしてくれる。僕は兵隊さんが大好きだ。兵隊さん、今日は何を話してくれるの?
「今日はね、平和だった頃の話をしてあげよう」
兵隊さんはそう言って、昔の話をしてくれた。兵隊さんが小さい頃は、皆が仲良く暮らしていたんだって。だけど、ある日突然戦争が始まって、沢山人が死んだらしい。そして、今はこんなにも寂しい国になってしまったそうだ。兵隊さんは悲しそうな顔で話していたけど、でも最後はこう言った。
「だからね、君には絶対に戦争を起こさせちゃいけないよ。いいかい?」
分かった! と僕が答えると、兵隊さんは嬉しそうに笑った。それからまた少しだけ話をして、夕方になると帰っていった。次の日も、その次の日も、兵隊さんはやって来た。毎日、いろんな国の話を聞かせてくれた。僕はそれを聞くたびにワクワクした。いつか行ってみたいと思った。だけどある日を境に、兵隊さんは来なくなった。
公開:23/02/18 09:13

富本アキユ( 日本 )

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・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
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ブラウン・シュガー
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