焼きたてですよ

『残業で遅くなる』と妻にラインし、僕は浮気相手の家へと向かう。
彼女との熱い一時を過ごした後、帰路につく。…が、帰ってみると家がなかった。火事で家が燃えてなくなっていた。
これは夢か？呆然としていると妻からラインが届いた。
『焼きたてです。私も熱い一時を過ごさせてもらいました』
その一文に僕は恐怖する。妻は僕の浮気に気付いていた？妻が家に火を点けたのか？
怖くなった僕は再び浮気相手の家に戻る。
今日はお泊りだ！なんて無邪気い喜ぶ彼女。悪いけど今はそんな気分じゃないんだ。
彼女は血の滴る分厚いレアステーキを振る舞ってくれた。これ食べて元気出して、と。
ステーキに手を伸ばす僕。が、警察から電話がかかって来て手を止めた。
「焼け跡から奥様の遺体が見つかりました。頭を強く殴られており、死因は撲殺です」
その言葉にゾッとした。目の前には人を殴り殺せるくらい肉の塊。
彼女は笑う。「焼きたてですよ」と。