小さなバレンタインチョコ

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私は大好きな彼の為にチョコを手作りした。彼はチョコが大好きだし、きっと喜んでくれる。彩とそんな話をしていた。
「彩は?森橋先輩にチョコ渡すの?」
「うん。まあ……」
「えー、どんなのー?見せてー」
「これ」
そう言って彩が見せてくれたのは、駄菓子屋で売っているような一口サイズの小さなチョコだった。
「えっ……」
私は思わず絶句した。だって本命のチョコなのに、こんな小さな一口サイズのチョコなんて。
「どうしたの?金欠なの?」
「ううん。お金はあるよ」
「じゃあなんで……」
「うん。私ね……」
そう言って下を向いて俯き、暗い表情をする彩。その様子を見て私は、何やら深刻な事情があるのだろうと察した。
「どうしたの?」
「お菓子業界の戦略に乗らされてるって感じが、どうしても腑に落ちないっていうか、納得できないの。だからこれはお菓子業界への精一杯の抵抗なの」
そう言う彩の目は、対抗意識に溢れていた。
公開:23/02/14 09:43

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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