祖父の時刻表

祖母の部屋で変な時刻表を見つけた。
「それ、お爺ちゃんの時刻表よ。お爺ちゃん、汽車の運転士していたでしょ？だから時間に厳しくて、１分１秒の遅れも許してくれなかったの。それで曜日ごとのダイヤをメモしていたの」
言われてみれば、この時間は全て祖父の行動とぴったり合う。うわっ…食事の終了時間まで書かれている…面倒臭っ…
「あの人、融通の利かない汽車みたいな人だから…そんなお爺ちゃんが運休を決めた日は必ず、貴方が風邪を引いたり、運動会や発表会があった日なのよ。『儂は孫は男しか認めん！』なんて言っていたのに孫娘の貴方にすぐにデレデレし始めたの」
それは私の記憶にある、優しい祖父の姿と同じだった。
「お爺ちゃん、運転士で切り替えも上手だからじゃない？」
私の一言に祖母は大笑いした。
そんな祖母の指にきらりと光るダイヤの指輪。
結婚６０年目の記念日は、祖父が祖母にプロポーズした時間に渡したものだそうだ。