恋

「お嬢さん、これっ、落としましたよ」
「ご親切にありがとうございます。でも、それは私の体からそぎ落としたものです。捨ててもらって構いませんよ」
よく見るとそれは脂肪だった。もしや、これは新手の死亡フラグなのだろうか。

「そこのお姉さん、これっ、落としましたよ」
「ありがとうございます。でも、それは捨てて下さい。私には不要なものです」
よく見るとそれはアルコール中毒の男性だった。
「私は一ヶ月後に資産家と結婚します。断捨離をした結果、その男性は捨てる事にしました。もう、家族でもなければ、親でもありません」

「奥様、落としましたよ」
「あらっ、セバスチャン。私は何を落としたかしら」
「奥様が落としたのはこれです」
よくみるとそこには一人の少女が立っていた。
「私は知っております。奥様が若かりし頃、密かに産み落とした子供を教会の前に置いて来たことを。その教会に多額の寄付をしている事も」