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「先輩、付き合って下さい」
「駄目です。あなたは私と付き合う資格がありません」
「それならその資格を取ります」
「本気ですか。この一級恋人取扱管理者試験は難関ですよ」
「絶対に取って見せます」
「本気なのですね。分かりました。それではこの本の内容を明日までに覚えて来てください」
「これは?」
「恋のマニュアル本です。初心者向けに配布しているものなのですぐに覚えられるはずです」
「この六法全書の様な分厚い本がですか?」
「そうですが、何か不服ですか」
「いえ、別に」

数年後、私は公園のベンチに一人座り、無心に空を見上げていた。
もう何度、恋(の試験)に落ちているのだろうか。浮気もせず、純粋に頑張って来たけど(試験では)毎回振られてばかりだった。
「はぁ~、今回は残念ですがご縁が御座いませんでした。今後のあなたの躍進を陰ながらお祈りしておりますかぁ。はぁ~、女心と秋の空か。難しいよな」
公開:23/02/12 11:33

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