焼きたてですよ

昔々のお話。とある皿売りの商人が山で道に迷い、妖怪の住処に来てしまったそうな…
「食ってしまおう」と涎を垂らす妖怪達。それに怯え、足がすくんで動けない皿売り。
「こいつは俺達の客だ」
そう声を上げたのは河童。
「何だ。河童の客か」
妖怪達は興味をなくしたように去っていく。
「安心しろ。河童は人間の味方だ。それにアンタ、皿売りだろう？丁度俺達も新しい皿が欲しかったんだ。そいつを売ってくれないか？」
皿売りは河童達に皿を見せては、どこで焼かれたものか、絵師は誰だかと説明する。
興味津々の河童は目と頭の皿を輝かせ、熱を上げていく。
気が付けば、皿は全部売れていた。
「ご苦労さん。皆、久しぶりに焼き立てたと大満足だ。お前さん、いい皿売ってるねぇ。もし良ければ、これからも来てくれないか？この俺、河童橋代表の河童土器屋はお前さんを歓迎するぜ」
後に皿売りは河童橋を真似て、あの有名な職人街を作ったとさ。