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株式会社大学校から、その卒業生のひとりが、会社に入って初めてのゴールデンウイークを迎えた日。
彼は、アパートで、その一週間ほどまえに起きた事件について考えていた。
それは、会社の敷地内の池で、男子学生が溺死した事件だった。警察は自殺と判断して捜査を終わったが、彼にはどうしてもそうは思えなかった。
彼は、池に浮いていた学生の服――水草のあいだに挟まっていた布を思い出した。
しかし、彼はその水草の名前を知らない。ただ、それがよく育っていることだけは知っていた。そして、それがあることで池の水が濁り、藻が繁殖して、鯉や金魚にとって、よい環境になっていることも知っていた。
だが、彼の目には、その水草が、まるで自分の意志を持っているかのように見えたのだ。
のちに彼は知る。株式会社大学校が、遺伝子組み換えで食人植物の研究をしていたことを。
ホラー
公開:23/03/12 05:08
株式会社 大学校 水草 生きている

たじま えりこ( 広島 )

カクヨムで『日々の事柄』を連載中。
2022年からエッセイストになるため修行しているが、
広島のサンモールで一部のエッセイが掲示されたことがある。
Novel Days では『Ingress――日常を冒険しよう』のPVが
13,000を突破している。

 

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