左に進む秒針
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過去に戻りたいと思うことがある。それはつい衝動買いをしてしまい、後悔した高い買い物の後だったり、友達に嫌なことを言って傷つけてしまった時などだ。だが時計の針は、左には進まない。どんな偉人であっても、どんな頭脳明晰な天才であっても、時計の針を左に進ませることはできないのだ。
その時計を見つけたのは、三年前だった。道に落ちていた。変わったデザインの腕時計だったので、つい拾って見てしまった。その腕時計は、秒針が左回りをしていた。完全に壊れているようだ。時計を手に取ったら、歩いている人が後ろ向きで歩いてきた。
「時間が戻っている……?」
時計を持っている間、時間が戻った。私は時計を持ち帰り、時間を巻き戻し続けた。戻して戻して、そして三年前から六年前へと戻って来た。
「俺達、別れよう」
「もう少しだけ考えて欲しい」
あの時に時間を戻さなければ、私は妊娠せず、息子は生まれていなかっただろう。
その時計を見つけたのは、三年前だった。道に落ちていた。変わったデザインの腕時計だったので、つい拾って見てしまった。その腕時計は、秒針が左回りをしていた。完全に壊れているようだ。時計を手に取ったら、歩いている人が後ろ向きで歩いてきた。
「時間が戻っている……?」
時計を持っている間、時間が戻った。私は時計を持ち帰り、時間を巻き戻し続けた。戻して戻して、そして三年前から六年前へと戻って来た。
「俺達、別れよう」
「もう少しだけ考えて欲しい」
あの時に時間を戻さなければ、私は妊娠せず、息子は生まれていなかっただろう。
公開:23/02/08 08:58
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