誰も知らないカフェ

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究極のカフェを営んでいるというエス氏は、
しかし、だれもそこに案内しようとはしなかった。
だから、カフェのある場所は、
誰も知らなかった。

秘密めかしたエス氏の動向をあやしんだアイ氏は、
エス氏のあとをつけた。
エス氏は、森の中へと消えていった。
アイ氏はさらに、あとをつけた。

ふたりが森の奥に向かって歩いて行くと
行く手にボロい小屋が見えてきた。
薄明かりの中、そこだけスポットライトが
当たっているかのように輝いている。

見ると、小屋からなんと、
妖精が出て来て踊り始めたではないか。
アイ氏は驚き、思わず前に出て言った。

「エスさん、これは素晴らしい。
どんなトリックを使ってるんですか?」
悲鳴が上がり、小屋はすったもんだの大騒動になった。

その後、カフェは閉鎖され、アイ氏はエス氏にこっぴどく叱られた。
ファンタジー
公開:23/02/08 05:08
SSnote 誰も知らない カフェ 森の中

たじま えりこ( 広島 )

カクヨムで『日々の事柄』を連載中。
2022年からエッセイストになるため修行しているが、
広島のサンモールで一部のエッセイが掲示されたことがある。
Novel Days では『Ingress――日常を冒険しよう』のPVが
13,000を突破している。

 

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