返り討ち

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浪士組たちが、寝ているわしの首を狙いに来た。主君の仇討ちらしい。
わしは返り討ちにしてやった。わしも確かに言い過ぎた面もあったかもしれん。だが礼儀作法の知らん田舎大名を指導するにあたっては、それくらい当然ではないか。
第一、金の価値が今と昔とでは全然違っておる。昔経験があったからと言って、当時の貨幣基準を今持ち出されて開き直られても困る。
わしを強欲と言う者もおる。だが地元の民のためにも、仕方のない面もある。わしが手に入れた金で地元の領地も潤う。背負っている物が違うのだ。
幕府もわしを生け贄に晒したようだ。だがそんなにやすやすと首をやるわけにはいかん。わしを討てば民衆も浪士組も大喜びで、幕府も矛先を躱すことができたと安堵するだろう。
だが本質を見過ってはいかん。真の敵は他にいるのだ。
仇討ちは原始的で非効率的なものだということを、死ぬ前に世間に知らしめることができてよかった。
その他
公開:23/02/03 22:37

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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