音頭計

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「今日は高いな」
「ああ、高いな」
これは温度計の気温の話ではなく、音頭計の話だ。音頭計は、歌って踊った時の皆の熱気を数値化してくれるというものだ。この日の練習では、とても良い数値が出た。本番の阿波踊りでは、もっともっと良い数値を出さなくてはならない。音頭計の数値を気にして踊り続けて狂ったように練習すると、音頭計の数値は更に上がった。
「この調子だな」
「もっともっと踊り続ければ、更に良い数値になる」
もっと踊り続けた。皆、流石にもう限界だ。真夏にこれは過酷だ。
音頭計の数値は、80という数値が出た。
「高いな」
「だが本番では、数字の限界である100を出したい」
ついに阿波踊りの本番がやってきた。会場は、阿波踊りの熱気に包まれている。
「今日は全力で踊って音頭計の数値100を目指そう」
そう言って音頭計の数値を確認すると、周りの熱気ですでに100を振り切っていた。皆のやる気は下がった。
公開:23/02/03 08:10

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

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