高齢者感受性再教育制度

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老人の暴走自動車が増える現状を鑑みて政府は高齢者脳内研究所を設立し老人の行動分析を急いだ。研究の結果、暴走行動は反射神経の衰えではなく、感受性が原因であるとされた。感受性の鈍った老人は会社や役所でも横柄な言動で迷惑をかけるが、これも暴走の一例である。政府は研究所を高齢者感受性再教育センターと衣替えし、高齢者再教育を義務化した。
高い感受性には苦痛体験が必須であり、受講者には種々の苦痛が与えられた。教室ではボクサーから両頬を何度も殴られる。頭がぼうっとしたら冷水プールに投げ込まれ五十メートル十往復を泳がされ、プールのあと熱湯のシャワーを浴びせられる。さらに休みなく四百メートルのトラックを何周も走らされる。途中で休んだり棄権しようとすればボクサーに殴られる。こうして苦痛をたっぷり味わった高齢者はよろよろとセンターを出てゆく。そして多くは病弱で寝たきりになる。暴走老人減少の効果ありと発表された。
その他
公開:23/02/04 17:54

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

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