理想写真

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理想写真というのができた。自分の一番いい時の写真を撮ってもらい、それを見ていると普段の顔も常によくなるのである。
顔が感情を作るという逆説があるが、まさしくそんな感じで自然と振る舞いがよくなっていく人が多かった。
だが休まる暇がないのである。大抵の人は家庭とか友人同士などで安らぎ本性を出すのであろうが、いつも俳優のように気を張り詰めている状態になってしまっていた。
精神的に疲れる人が増加したので、くだけた写真というのもできた。この写真を見ているとくだけた表情になった。
写真屋にとってもありがたい話であった。素人でもそれなりの写真が撮れる時代で仕事も減っていた所、特殊技術とカメラを要する仕事が入ってきたので大抵の店は繁盛した。
だがみんな写真を見て振る舞うことに慣れてしまったため、どれが本当の自分か分からない。自分の今の表情は本当の物なのか、言ってることも本心なのか区別がつかなくなっていた。
ファンタジー
公開:23/01/29 23:24

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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