素晴しき法

ある少年は女性に性的暴行をして、人を殺した。しかし少年法に守られて実名も顔写真も一切公表されなかった。被害者には未来がないが、加害者には永い人生が待っているのだから当然の配慮と言えた。
彼は少年院に入って体が鍛えられた。反省文を書かされ国語力も向上した。知性と体力が磨かれた頼もしい青年となった。
真面目に働くようになり税金も納めるようになった。国のために貢献できる大人になった。
その後いい女性を見つけ結婚して子供も産まれた。もちろんその女性は男の過去を知らない。男もほとんど思い出すこともない。辛い嫌なことは忘れた方がいいのだ。
人は誰でも過ちを犯す。ましてや精神的に未熟な少年なら、なおのことである。多少道を踏み外すくらいの肝っ玉を持った少年の方が頼もしいとも言える。一人の少年が過ちから立ち直り、仕事を一人前にこなすようになり幸せな家庭を築いたという、サクセスストーリーがここにまた生まれた。