分岐点

「分岐点に戻りもう一つの世界が見れます」
「私が別な道を選んでいたら、どうなったかが見れるということ？」
「そうです。ただしその道に進み直すことはできません。またこちらの現実に戻ります」
「分かりました。見てきます」
私はAとBという男性と付き合った過去があり迷った挙げ句Bと結婚したのだが、もしAを選んだらどうなっていたかを知りたかった。
Aは才覚を発揮して出世して高収入を得ていた。私のことも思いやってくれて、二人の子供の面倒もきちんと見てくれていた。
だが将来不運に見舞われるとか、Aの危ない本性が分かるといったこともなくずっと幸せな人生を過ごしていた。
私は絶望の溜め息をついた。Bは才覚もなく低収入で変に威張っているだけだから別れたい気持ちもあるが、あまりできのよくない子を育てなければならない義務感もあり踏み切れないでいる。
もう一つの世界なんて見なければよかった。余計現実が辛くなった。