強力塗り薬

痛みをすっかり取ることができる塗り薬ができた。従来の物とは違い、痛みを本当になくしてしまうのである。
みんな喜んで買い求めた。体を悪くして満足に働けない人や、痛みのあまり行動が制限されてしまう人には特に需要があった。多くの接骨院や外科が廃業に追い込まれた。
だが無理をしてしまう人が増えた。いや当人は無理をしているつもりはないのだが、痛みを感じないため今までは自重していた動きができてしまうのだ。その結果当人は若いつもりでもダメージが蓄積されて、体の中が蝕まれて病気になってしまう人が増えた。
それに今までは体が動かなくなってくると、後輩に仕事を任せる。その代わり自分は後輩を指導するといった伝統があったが、現場好きな人はいつまでも現場に出て仕事を張り切るので、後輩が育たなくなるといった弊害もあった。
しかし有能な人がいつまでも働いてくれるのは有益でもあるので、どう対策をするか政府は思案中である。