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初めて恋をした。
無精髭、短い金髪、透んだ空のような青い瞳、
たくましい勇者さま。
彼は、あたしを助けに来てくれた。
あたしはこの国で人質にされていたんだ。
彼は、いともたやすく
見はりをノシて
あたしの手を取った。
そのときの手のぬくもりが
あたしのハートを射ぬいた。
だけど、国境近くになって
あたしは急に逃げるのがイヤになった。
逃げている間は、彼といられたのだ。
彼に守られ、彼の先導に従っていればよかった。
国境近くで立ち尽くすあたしを見て、
待ち合わせていた父が、呼び掛ける。
「ウィーナ! 走れ!」
彼も腕を取ってあたしをせかす。
あたしは、歩みを止めて彼を見あげた。
「行きたくない」
「このままつかまりたいのか?
今度は拷問だけじゃ、すまない!」
あたしは、彼の胸に飛び込んだ。
「このまま、ずっと逃げよう」
彼はそっとあたしを押しのけた。
あたしの恋は実らなかった。
無精髭、短い金髪、透んだ空のような青い瞳、
たくましい勇者さま。
彼は、あたしを助けに来てくれた。
あたしはこの国で人質にされていたんだ。
彼は、いともたやすく
見はりをノシて
あたしの手を取った。
そのときの手のぬくもりが
あたしのハートを射ぬいた。
だけど、国境近くになって
あたしは急に逃げるのがイヤになった。
逃げている間は、彼といられたのだ。
彼に守られ、彼の先導に従っていればよかった。
国境近くで立ち尽くすあたしを見て、
待ち合わせていた父が、呼び掛ける。
「ウィーナ! 走れ!」
彼も腕を取ってあたしをせかす。
あたしは、歩みを止めて彼を見あげた。
「行きたくない」
「このままつかまりたいのか?
今度は拷問だけじゃ、すまない!」
あたしは、彼の胸に飛び込んだ。
「このまま、ずっと逃げよう」
彼はそっとあたしを押しのけた。
あたしの恋は実らなかった。
青春
公開:23/01/28 05:08
失恋
国境を越えて
カクヨムで『日々の事柄』を連載中。
2022年からエッセイストになるため修行しているが、
広島のサンモールで一部のエッセイが掲示されたことがある。
Novel Days では『Ingress――日常を冒険しよう』のPVが
13,000を突破している。
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