真実の愛

私は彼氏と船旅をしていた。しかし帰国途中で船が沈没してしまった。
彼氏は船の板切れを、私に譲ってくれた。二人で捕まると二人とも犠牲になってしまうから、きみだけでも助かってくれということらしい。私はそれをありがたく受け取った。
私は自己犠牲とは、自己満足でもあり陶酔でもあると思っている。自分の命と引き換えに愛する人を救うというのは尊い行為なのかもしれないが、それを真実の無償の愛と呼ぶのは何か胡散臭い。
この船旅だって内心あまり乗り気ではなかった。だいぶ前に決めたことだし、彼氏の方が乗り気だったので仕方なしに参加したのだ。
私は他に好きな人がいるのだ。今の彼氏より、もっと大人で経済力もある人だ。
私は運命の人とか永遠の愛は信じていない。愛し合っていたが、別れた人を何人も見てきたからだ。堅実な生き方を心掛けた方がいいだろう。
好きな人と両想いになれそうな感じだから、慰めてもらいつつ愛を育もう。