今夜、決めよう

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「特別なひとときを、お貸しします」
仕事帰りに寄ったデパートで、ポスターを見かけた。エレベーターを貸し切るサービスらしい。
このデパートが入っているのは、地上60階の高層ビル。シースルーのエレベーターは、観光客にも人気だ。

僕には、7年間付き合っている彼女がいる。「結婚」の二文字が頭をよぎるが、なかなか切り出せない。

「これだ!」
料金は決して安くなかったけれど、申し込んでみた。

「お待ちしておりました」
エレベーターの前で、タキシード姿の店員が僕たちを出迎えてくれた。開閉ボタンを押して、中へと案内してくれる。

エレベーターから見える夜景は、無数の光でキラキラしている。
うっとりとしている彼女の肩を、そっと抱いた。

突然、エレベーターが動き出した。
6階に止まり、ドアが開く。

さっきの店員が、僕に小さな箱を差し出す。

「受け取ってくれる?」
中では、ダイヤの指輪が光っていた。
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公開:23/01/23 10:02
更新:23/01/23 10:16
#研究室ライブ #プレゼント包装 #されたエレベーター

ろっさ( 大阪府 )

短い物書き。
皆さんの「面白かったよ!」が何よりも励みになります。誰かの心に届く作品を書いていきたいです。

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