お爺さんのメガネ

「婆さんや、儂のメガネを知らんかね？」
『それならお爺さん、頭の上にありますよ』
「いや、それはさっき確認した。儂の頭の上にメガネはなかった」
『そうじゃなくてお爺さん、こっちを向いてください』
「ん？…もしかして、婆さんの頭の上にあるメガネ、それ儂のメガネか？」
『やっと気づいてくれました？』
「ああ…あと婆さん、髪型変えたんだな」
『それもやっと気づいてくれましたね。折角キレイにしたのにお爺さんったらこっちを見てくれないんですもの』
「それはすまなんだ…もういいだろう。眼鏡を返してくれ」
『お爺さん、メガネが欲しかったら手を伸ばして下さい。私の髪に触れ、メガネを取ってください』
「まったく…ん？婆さん、もしかしてシャンプー変えたか？」
『気付いてくれました？』
「ああ。だがメガネがなくて距離が掴めん。婆さん、じっとしていろ」
『お爺さん…これってもしかして…』
「気付いたか？壁ドンだ」