膝小僧

4
2

俺には誰にも言えない秘密がある。俺の膝には、小僧が住んでいるのだ。膝小僧は、時々うざい時もあるが、こいつのおかげで助かったこともある。例えば学生時代。テストでは、膝小僧のおかげでカンニングし放題だった。俺の成績は上位をキープできていた。
「おい。膝小僧。この問題の答えは?」
「織田信長」
「よし。じゃあこれは?」
そんな感じで、俺自身はそこまで勉強が得意ではなかった。就職してからも小僧に世話になった。
だがデートの時だけは別だ。小僧は恋愛が苦手だった。おかげで、ことごとく好きな人にはフラれてきた。
「お前のせいでまたフラれたじゃないか」
「オイラ、もう黙ってるよ」
それ以来、膝小僧の声は聞こえなくなった。なんだかとても寂しくなった。二十五年間、生まれた時からずっと一緒にいた兄弟みたいな存在だったから。
「小僧。なあ、膝小僧。返事してくれよ」
膝小僧の声は、二度と聞こえなくなった。
公開:23/01/26 09:51
更新:23/01/26 21:55

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

〇サウンドノベルゲーム版作品(無料プレイ可)

ブラウン・シュガー
https://novelchan.novelsphere.jp/38739/

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容