ニオイでバレる

俺はクラスメイトを見下している。こいつら皆バカだ。
顔が良くて優しい。頭も良くて頼りになる。それだけで俺を信じる。こいつらは俺の外面しか見ていない。
今も財布を落としてしまい金がない…と、困っているふりをしていたらすぐに金を貸してくれた。
ありがた過ぎて笑い涙が出てくる。頭の中がおめでたい奴らめ。
俺はそんな奴らに色を付けて金を返す。
「実は俺、株をやっているんだ」
そう話すと皆が納得する。俺にあやかろうと出資したいと申し出てくる。
俺の嘘を容易く信じる。本当にバカな連中だ。
だがクラス一のバカだけはどうあっても俺に金を渡そうとしない。俺の話を無視する。
皆、そいつをバカにする。俺もバカの癖に…と内心で悪態を吐く。
そいつが俺に言った。
「君の話、どうもクサいんだよね…」
嘘臭い？胡散臭い？一体どう臭いんだ？言ってみろ。
「君、アホくさいんだよ」
そいつはバカなふりして、俺を見抜いていた。