夢の話

私は枕元にメモ帳を用意している。起きた時、見た夢をすぐにメモ出来るように。
日記帳ともネタ帳とも違う不思議な記録。メモ帳を開くと起きていても夢の世界の扉が開く。
長年続いている私の日課だ。
そのせいだろう。最近では夢の中でも気が付くとすぐそばにメモ帳が用意されてある。
私はそれを手に取り、現実世界の出来事をメモする。
夢の中でメモ書きから始めるなんて、これはもう習慣というより病気だな…思わず苦笑いを浮かべてしまう。
夢の世界と現実世界。二つの世界でメモを取る私は徐々に世界の境があいまいになってきた。
突飛な世界ならそれが夢だと理解できるが、生憎私は現実的な夢しか見ない。
そうなってくるとこれが夢なのか現実なのか分からなくなってくる。
メモを止めれば、どちらが現実かはっきりするだろう。
でも今の世界がもし、夢だったら私はどうなる？
考えるのも恐ろしい…だから私は今日も二つの世界でメモを取る。