小能力

「俺、小能力に目覚めたんだ」
『小能力？超能力じゃなくて？』
「あんな凄い事、俺には出来ないよ」
『その小能力ってのは一体何が出来るんだ？』
「丸くなった消しゴムを少しだけ尖がらせられる。丸くなった鉛筆を少しだけ尖らせられる」
『ちっちぇなぁ…それ、気付く奴いる？』
「いない」
『透視とか出来ねぇの？』
「出来なくもないけど文字ならフォントサイズが１になる」
『…画像なら？』
「９９％縮小される」
『ちっちゃっ！』
「あと、スマホとかのドット落ち、あれを一カ所直せる」
『小さっ…でも便利だな。ほぼ気付かれないだろうけど。その能力、意味あるのか？』
「意味はあると思うよ。昨日も地球に向かって来る隕石を小能力で少し軌道をずらしたんだ。ほんの少しで地球直撃を避けられたよ」
『凄いな！それはもう超能力だよ！いや、超超能力だよ！』
「そんな事ないって。小さい事がやたら気になる俺の少々面倒な小能力さ」