無宗教という楽園

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私は勤め先に向けて自転車を走らせていた。道の途中でうずくまっていて、苦しそうにしている人がいた。だがその人に構って遅刻したら会社に迷惑をかけてしまうので通り過ぎた。
スーパーが私の勤め先である。お客様は神様である。それくらい厳粛な気持ちで勤めなくてはならない。皆でマニュアルを唱和した。
厄介な客に店長が適切な対応をしてくれた。まさしく神対応である。その神の言うことは絶対である。間違いのないように商品をレイアウトを考え、適切な所に置かなければならない。決して口答えは許されない。休みも滅多に好きに取れないが、今の時勢に働くことができるだけでも幸せなことだ。
家に帰っても夫や子供のために、美味しい食事を作り部屋を綺麗にしなくてはならない。そうしないと運気が逃げるのだ。これはテレビや動画で偉い人が言っていたことだから確かである。
日本のような宗教の縛りが無い国に生まれてよかった。毎日気楽で幸せだ。
その他
公開:23/01/21 23:01

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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