愛についての見解

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トオルはギタリストで、弾き語りもする。彼の路上ライブを見てルナは惚れた。やがて同棲するようになった。
「愛は金で買えない。愛は永遠だ」
ありきたりかつシンプルな、手垢のついたフレーズだが、ルナは時代錯誤とも言えるトオルのストレートな面に惹かれたのだ。だが時が経つとルナの気持ちは、トオルにも彼の作る歌にも冷めつつあった。
愛は金で買えないというなら、親が子に金を使ったり、恋人が相手にプレゼントを贈るという行為も必要ないのではないか。
はたまた赤ん坊を愛おしく思う、愛する人と永遠に一緒にいたいと思う、そういう純な気持ちは金で買えないという言い方もできるのかもしれないが、人の心境は変化するものだし永く一緒に過ごせば嫌な思いは蓄積されていくものだから、愛を持続させるためにも金は必要だろう。
根が現実的なルナは、こう思い始めると彼への愛も冷めた。彼が寝ている時に、書き置きを残して家を出て行った。
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公開:23/01/21 22:40

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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