感情の相違

私はタクトとドライブしていた。彼の運転である。デートの場所に行って、その帰りの車中彼が話しかけてきた。
「リナ、実は話があるんだ」
「私もタクトと話があったの、実は…」
と言いかけた時、車がすごい衝撃を受けた。壁に車をぶつけてしまったらしい。私は奇跡的に軽傷で済んだが、タクトの方は両足に大怪我を負ってしまった。一生車椅子生活を余儀なくされるらしい。
私はタクトのお見舞いに行った。
「ごめんな。怖い思いをさせてしまって。おれもこんな体になってしまったし、おれたち別れようか？」
「まずは養生してね。いい友達でいましょう」
彼は少し傷ついた顔をした。内心他の言葉を期待していたようだ。
断じてタクトの体が不自由になったから、別れることを決意したわけではない。その前に別れることは決めていた。
あのドライブの時、彼がプロポーズしてくるような雰囲気があったので話を逸らそうとした矢先に事故にあったのだ。