夢の無い時代

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おれは猛練習を積んでプロ野球のピッチャーになった。そして魂をメフィストフェレスに売り渡した。その代わりに、魔球を投げることができるようになる契約を交わした。
おれはレトロな野球漫画の熱狂的なファンなのだ。いよいよ実際に投げることができると思うとゾクゾクした。
打者のバットを目がけて投げた。ビーンボールと警告を受け使用禁止となった。
さればと消える魔球を投げた。審判にボールと判定された。理由を訊くとストライクゾーンを通過したと判断して、審判はストライクの判定をする。その確認ができないのでボールとのことだった。
ならばとバットスイングの風圧で、球が下を通過する魔球を投げたが、打者に力を抜いて打たれ滅多打ちにあった。
ではジャンプして投げたり、回転して投げたりしたが違反投球と警告された。
結局おれは単なる道化者として、クビを切られてしまった。魂の取られ損である。全く夢の無い時代だ。
ファンタジー
公開:23/01/21 21:51

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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