２８年

２８年。それだけの時間があれば人は赤ん坊から成長し、親となり、赤ん坊を育て始められる。命のリレーをまた一つ繋げられる。
阪神淡路大震災から２８年。当時がれきの山が築かれていた場所には新しいビルが築かれ、立ち並ぶ。震災があったなんてとても思えない。その爪痕はぱっと見、どこにも見当たらない。
だからつい忘れそうになる。２８年という歳月は人々の記憶から震災を消し去ってしまう。
今日も「そう言えば…」で、思い出した人も少なくはないだろう。
現実問題、日本各地に立つ忠霊塔・戦没者慰霊碑が破壊されるという事件も起きている。管理する者が減少しているのも問題である。戦争が記憶から薄れている。
あの悲劇を忘れない為にと建てられたものでも、それを伝えなければ忘れ去られてしまう。苔むした過去の出来事になってしまう。
２８年は過去ではない。まだ誰もが抱えている記憶である。
だからこそ、伝えていかなければならない。