脳内再生シネマ

8
3

脳内情報を再生する装置が発明された。発明者は解説する。映像や音の情報が脳に蓄積されているというのは俗説です。脳内に情報はなくニューロンが跳び渡る神経細胞の反射運動だけがあり、すき間にあるシナプスに過去の写真情報などの電気刺激を与えることでニューロンは過去と同様の運動を繰り返し映像を再現できます。
専門的なことは難しいが、この再生装置で脳内の記憶再生が可能となり、再生映像は裁判で証拠物件として扱われた。被告容疑者の犯罪記憶を映像化して、裁判官らの判決材料とする。これを聞いた抜け目ないビジネスマンが映画化することを思いつき、ある強姦事件の犯人の脳内再生映像を不正に入手した。映画ではレイプの一部始終が克明に映像化され、見る者は顔を背けてしまう。「実録」とタイトルされた映画には怖い者見たさの観客が押し寄せた。主催者はほくほく顔で、次作「実録殺人」のための脳内再生映像の調達を計画しているという。
その他
公開:23/01/17 11:11

たちばな( 東京 )

2020年2月24日から参加しています。
タイトル画像では自作のペインティング、ドローイング、コラージュなどをみていただいています。
よろしくお願いします。

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容