怪我ないか?

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中年の男が派手に転倒した。そして太陽の光に反射するように頭が点灯していた。
「怪我ないか?」
「ふざけるな!!誰が毛が無いだ!!」
この男、どうやら自分に毛がない事を相当気にしているようである。転んでしまって手を差し伸べられた事を恥ずかしいと思い、更に毛の事を言われたと思っている被害妄想。もはや救いようがない。
「いや、毛の事ではない。怪我の事だ。聞き方が悪かった。体は大丈夫か?」
私は冷静に大人の対応をする。
「だったら初めからそう言えよ。俺の毛を見て馬鹿にしているのかと思ったじゃないか」
男は立ち上がり、歩いていく。その様子を見ていた男が近づいてきた。
「怪我無いか?は、紛らわしいです。ああいう神経質な人を余計に逆なでしてしまう。気を付けてください」
「配慮し、言い方を考えろというのか。実に生きにくい世の中だな」
人に化けた鬼である私は、もう化けるのをやめた。人の世は実に面倒だ。
公開:23/01/17 08:23
更新:23/01/17 08:40

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

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ブラウン・シュガー
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