手紙

レトロブームで、手紙が脚光を浴びてきた。と言ってもイチから自分の手で書くわけではなく、簡単な挨拶文を書くと後はペンが勝手にすらすら書いてくれるのである。
例えば、元気か？とメモ用紙に書いて次に便箋の上でペンのスイッチを押せば、話を膨らませて何行にも渡り書いてくれる。エピソードを書きたければ、それも書いてくれる。
ラインの既読スルーはだめだとか、SNSで気の利いたコメントを載せなければとか、いいねを貰うか付けるかしないといけないという風習に食傷気味だった一部の人間には受けた。私は手紙に換えたのでと、言い訳も立ったからだ。
手紙をポストに出す必要もなく、窓を開けて放てば紙飛行機のように宛先人の家まで飛んで行ってくれた。その姿がかわいいと、女性の間で人気だった。
メールやラインなどだとすぐ送れてしまうから失言があったり、誹謗中傷もあったが手紙は見直し推敲できるよさもあった。文章の勉強にもなった。