夢の話

私は夢の修理人という、とても珍しい仕事を生業にしている。
珍しいといっても、ユメンテナンスは需要の多い仕事だ。資格さえ取得しておけば食いっ逸れる事はない。
今日は１０件ほど夢を直してきた。
そのうち３件は下半身丸出しで外を出歩く夢だったので思わず笑ってしまった。
この夢は珍しいものじゃない。ズボンやパンツのねじを締めれば修理は完了。素人でもできる。
歯が抜ける夢を見たって案件もあったな。こういう作業こそ腕の見せ所だ。
歯だけじゃなく、髪の毛も抜けないようユメンテナンスしておく。細やかな気配りがこの仕事には必要なんだ。
身近な人が亡くなる夢を見る案件に関しては、あえて故障部分を少し残しておく。
こうしないと、身近な人の大切さを見失ってしまうだろう？
あえて故障部分を残し、悪夢を見る事も人には必要なのさ。
そんな私、実は副業も行っている。さすがに今の世の中、夢だけで食っていくのは難しいからね。