敗者の役割

0
1

ローポーカーというカード遊びがある。通常のポーカーは高い役を作った人が勝つが、逆に低い役を作った人が勝つという遊び方である。
秘かなブームとなった。映画のシーンのように高い役を作れることなんて滅多に無いからである。あまり駆け引きが上手で無い人でも、それなりに楽しめた。
野球賭博も形を変えて合法化されることになった。非合法の時は弱いチームにハンデを与えることで知られていたが、そういうことはしなくなった。試合の結果そのものを、賭けの対象とした。
掛け金も戻り金も少なかったが、今までの方式と変わったのは負けたチームに賭けた人に金が利子をつけて戻ってくるようになったことだ。
おかしな方式だが、勝負事というのは勝つ人と負ける人とで成り立っている。敗者を引き受けた役割の人が勝者を喜ばせていると言えなくもない。
更に賭けをする人にまで喜びを与えるようになったのだ。どこか変だが楽しい世界でもあった。
その他
公開:23/01/13 20:48

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容