夢の話

「私ね、夢の中だとママのお友達になっているの」
それは娘の前世…私の親友の記憶だ。
昔、引っ越しを翌日に控えた親友が涙ながらに告げてきた。
「私、貴方の夢の中に引っ越したい。離れたくない…」
私も同じ気持ちだ。親友の夢の中に潜り込んで一緒に行きたい。
その願いが通じたのか、親友は本当に私の夢の中に引っ越してきた。
それから就寝が楽しみになった。眠ると親友に会える。一緒に遊べる。
でも学校の授業中、居眠りしようものなら親友に夢の中から起こされる。
夢の中でも親友はなくてはならない存在だった。
そんな親友が夢の中から引っ越すと言い出した。引っ越し先は今度産まれる娘の体。
私の娘として生まれたらもう夢の中の彼女とは会えない。
それでも私は親友を送り出した。親友の幸せを誰よりも願って。

その話を遠方に住む親友にする。
「ウチも同じよ。夢の中の貴方が娘になって産まれたの」と楽しそうに話してくれた。