夢の話

難関大学合格を夢見る私は今日も勉強に励む。
そんな私を一番サポートしてくれたのは祖父だ。読書が好きで勤勉な祖父は私の勉強に付き合ってはまるで家庭教師のように教えてくれた。
そんな祖父の支えもあって、私は難関大学への入学を果たした。
喜ぶ私。祖父も一緒になって喜んでくれた。
その祖父の手には１枚の紙。それってもしかして…
「ああ、儂の受験票じゃよ」
『お爺ちゃん！受験してたの？何で？』
「儂はな、若い頃、大学に行きたかった。しかし貧しさ故それが叶わず、中学を出てすぐに働き始めた。家庭を持つ頃にはもう学校に通うなんて無理だと諦めた。だが、お前さんを見ていると儂もやっぱり通いたくなってきてな。高卒認定試験を取って、儂も受けてみた」
祖父は少年のような笑みを浮かべた。
「ありがとう。儂に今一度、勉強する機会を与えてくれて。学校に通う情熱を蘇らせてくれて」
感謝の言葉とともに祖父の夢が今、始まった。