夢の話

ん～！よく寝た。お母さん、ありがとう。この”たとう紙”、凄く寝心地が良かったわ。おかげで凄くいい夢が見れたの。
で、今日私を起こしたのは何の用？結婚式？入学式？卒業式かな？
えっ？どれも違う？じゃあ一体…ああ、そうか。今日は成人の日だったわね。
という事は私を着るのはお母さんじゃなくて、娘ちゃんの方ね。
そっか…あんなに小さかった娘ちゃんももう二十歳か…時が経つのは早いわね。
まあ、私は着物だから１年の殆どを箱の中で寝て過ごしているんだけど…
でもだからこそ、私は寝具である”たとう紙”に拘りがあるの。
箱に仕舞われている間、良い夢が見られたら、私を着てくれた人にもいい夢を見させてあげようって思うの。
そう考えると娘ちゃん、運がいいわね。
私は今日、貴方に凄くいい夢を見させてあげるわ。
だからその代わりといっちゃなんだけど、私を箱に仕舞う際、また良い”たとう紙”を用意して、綺麗に寝かせてね。