しめゆめ

新年最初の夢で吉凶を占う『初夢』はよく知られる風習だが、これに対し、旧年最後の夢を〆夢（しめゆめ）』と呼ぶ。
〆夢は過ぎゆく年の厄落とし。好ましからざる悪夢や叶わぬ願望、溜め込んだ煩悩を見おさめる、云わば夢の大掃除である。
縁起の良い初夢は、俗に一富士二鷹三茄子と言われるが、〆夢の場合は一箒二雑巾三ハタキと掃除関連の道具が続く。それらを使って、汚れ放題ちらかり三昧な夢世界をぴかぴかに磨き上げ、きれいに整理整頓してこそ、気持ち新たに次の夢を迎えられるというものだ。

もちろん〆であるから、掃除は年内に完了せねばならない。
見果てぬ夢、三日坊主に終わった目標、立てっ放しの旧年の抱負。三六五日かけて広げた大風呂敷を、一夜の夢で畳むのは相当難儀に違いない。
自覚のある方は忘年会など早々に切り上げ、体力温存準備万端、除夜の鐘の響かぬうちに床へつかれた方がよろしかろう。
それでは皆様、良い夢落としを。