家族のランプ

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家の空気を察するランプを、設置することが義務づけられた。家のどこかに置いて家族の間に漂う空気を察知して、灯りの状態が変わるのである。
子供が小さい時で、家族みんなが健康だったら明るく心地よい灯りが灯った。しかし子供も歳を重ねて我が出てきて家族と意見が対立するようになったり、誰かが衰えて介護が必要になったりすると灯りに翳りが見えるようになった。
しかしこれは良い悪いの問題ではなく、どこの家族にでもある当たり前のことであった。だからランプの灯りを気にして家族と仲良くしようとした人はそうしたし、そんなことは関係ない自分のやりたいようにやるといった人もいた。
面白いもので家族によって灯りのつき方が違うので、うっとりと眺める人もいれば、得意気に人に見せる人もいた。
ただし虐待などの犯罪があると、ひどく濁った色になるので警察に捕まったり、被害者が保護されたりした。
それが一番の利点かもしれなかった。
その他
公開:23/01/12 02:38

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

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