手を汚す覚悟

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まだまだお前は、青い。だが……」
「えっ?」
「……俺も、負けてはいられないな」
「……?」
不思議そうな顔をする少年に、男は小さく笑った。
それから、ゆっくりと口を開く。
「―――さあ、仕事の時間だぞ。
気を抜くなよ、新入り」
「……はい!」
元気よく返事をして、少年は前を見据えた。
その瞳には強い意志が宿っている。
(――ああ、そうだ)
この目でいいんだ。
これこそが、俺たちの守るべきものだ。
男は満足げに微笑むと、一歩踏み出した。
そして、二人並んで歩き出す。
彼らの向かう先にあるのは、ただ一つ。
――悪しきものを打ち倒す、正義の刃である。
この少年は復讐者だ。親を奴らに殺され、少年は力を求めた。だから俺が鍛えてやっている。今日は盗賊をこらしめた。もうすっかり人を殺すことには慣れてしまった。悲しいが、人を殺めた者は、己の命を持って償うしかないのだ。二人は手を汚す覚悟を持っているのだ。
公開:23/01/05 08:40

富本アキユ( 日本 )

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・作詞を担当
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