感情のコントロール

0
1

悲しみの感情が怒りに変わる装置が開発された。マイナスの感情をプラスの感情にしようというのである。
確かに効果はあった。大人しい人も自己主張をするようになった。それによって建設的な意見が出ることもあった。
だが怒りというのは冷静な判断力を失わせる感情でもある。一過性のエネルギーにはなっても、そんなに長続きはしない。言われた方もそれが正論であっても、素直に聞く気になれない。あいつは感情のコントロールもできない未熟者だとレッテルを貼られて終わった。
それよりは感情をコントロールしなさいと、安寧装置というのに取って換えられた。落ち着いた人が増えるようになった。
しかしそれは政府や会社の上層部の企みでもあった。有能な人が正論を振りかざしてきたら自分たちが危ない。だから感情をコントロールできる人が大人なのですよ、身を政府や上層部に委ねた方がいいですよと論点をすり換えた。
また大人しい人ばかりになった。
その他
公開:23/01/04 23:04

ぴろわんこ

少し変わった、ブラックな話が好きです。

コメントはありません

コメント投稿フォーム

違反報告連絡フォーム


お名前

違反の内容