異世界坂

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永遠に続く坂道をひたすら登っていく。
「うぅ、この道でいいんだよな……?」
『大丈夫だヨ』
不安になって思わず独り言を口にしてしまうと、ナビ音声がすかさず答えてくれた。
どうやら正解のルートらしい。
ホッとして再び歩き出すと、すぐにまた別の問題が浮上する。
「……この山ってこんなに険しかったっけ? もう三時間くらい歩いてる気がするんだけど」
『安心してネ。まだ一キロも進んでないからサ!』
「いやいや! さすがに冗談だよな!?」
『残念ながら本当ダ。キミは今、現実よりも五倍速く動いてル』
「えぇ……マジかよ……」
僕は思わず頭を抱えたくなった。
まさか異世界転生したら、現実でも五倍の速度で動けるようになるとは思わなかったのだ。
これが俗に言う『ゾーンに入った状態』というヤツだろうか。
しかし五倍に加速したとしても、一向に目的地へ辿り着く気配がない。
異世界坂は、いつまで続くのだろうか。
公開:23/01/06 09:56

富本アキユ( 日本 )

カクヨムにも小説を投稿してます。
Twitterは@book_Akiyu

・SSG投稿作品1500作品突破

・作詞を担当
https://youtu.be/OtczLkK6-8c

・葉月のりこ様YouTubeチャンネル『ショートショート朗読ボックス』~ショートショートガーデンより~の動画内で江頭楓様より『睡眠旅人』を朗読して頂きました。

https://youtu.be/frouU2nCPYI

・魔法のiらんど大賞2021小説大賞。大人恋愛部門「彼女の作り方」が予選通過

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ブラウン・シュガー
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