家庭用人造人間

一人暮らしを始めた私に父が家庭用人造人間を買ってくれた。
やったぁ！と喜び箱を開けるも、中に入っていたのはフランケンシュタイン・モンスターのような武骨でいかつい人造人間だった。
イケメンの人造人間が欲しかったのに…と、ごちる私に苦笑いの母。へそを曲げる父。
かくして私の一人暮らしが始まった。
最初はどうかと思っていたいかつい人造人間も慣れてしまえば愛着が湧いてくる。キモカワという奴だ。
背が高くて力持ち。家具の配置換えはお手のものだし、意外と手先が器用なので電気配線やスマホ操作もやってくれる。
暗い夜道、人造人間と一緒にいれば暴漢に襲われる心配もないしね。
イケメンだと緊張してしまうが、この顔だと安心してしまう。
そう思うのはこの人造人間がどことなく父に似ているからだろう。
無口で不機嫌そうな顔で何を考えているのか分からない。
だけど電気ブランを飲むと頬が僅かに緩むところも父にそっくりだ。